ビットコインは、海をまたいでお金を動かすことができます。
つまり海外送金や海外決済の手段として、ビットコインが使われるということです。それでは銀行送金と何が違うのでしょうか?
銀行送金にかかる手数料に関して、簡単に説明していきます。
銀行経由で送金すると手数料が高い
例えば日本やアメリカに出稼ぎに来たフィリピン人は、その収入を母国に送金するために、銀行経由で送金すると手数料がかなり高くなります。そして時間もかかります。
通常はコンビニATMやスマートフォンで送金できるセブン銀行を利用していますが、1万円送金するのに、990円、5万円送金するのに1,500円、10万円送金するのに2,000円の手数料がかかります。
その時にビットコインを使うと大変安い手数料で、しかも早く送金することができます。フィリピンアでは、1ヶ月に日本円で5万円もあれば、家族4人が生活できます。 1ヶ月分の生活費として、5万円をまとめて送金すれば、手数料1,500円で済みます。
しかしフィリピンの人たちは、貯金をする習慣があまりなく、お金が手に入ったらすぐに使ってしまうそうです。そのため、日本やアメリカに出稼ぎに来たフィリピンの人たちが実家に1ヶ月分の仕送りをまとめて送金しても、数日で使ってしまうことがあります。
そのため出稼ぎに来ている人は、こまめに少しずつ送金をしていくことになります。ところが、1万円ずつ送金すると1回につき990円かかりますから、5万円だとおよそ5千円の手数料がかかってしまいます。
これは送金額全体の1割です。大変高いです。そういう時にビットコインを利用して、送金するわけです。ビットコインであれば、手数料が1%ほどですから安く、しかも送金を素早く行うことが大きなメリットになります。
そうすると例えば、1,000円単位で送金しても気兼ねなく送金できますので、送金する人も受け取る人も双方にメリットがあるというわけです。
海外送金の手数料が高い理由
海外に送金する場合に考えておかないといけないことは、為替レートと手数料の問題です。
例えば、法人でアメリカから日本に送金する場合、又は日本からアメリカに送金する場合は、円からドル、ドルから円に資金を行ったり来たりしなければなりません。そのために二重に手数料をとられてしまいます。
そんな場合に円→ビットコイン→ドル、ドル→ビットコイン→円のように、あいだにビットコインを入れるだけで、手数料は安くなってしまうのです。
この場合、変動要因は円ドル相場だけでなく、ビットコイン相場にも影響されることになりますが、入り口と出口は円やドルのような法定通貨であり、あいだの移動手段として、ビットコインを使うということが仮想通貨の最も理想的な使い方だと思います。
そして銀行経由の海外送金でのもう一つの問題は、顧客から送金指示を受けた国内銀行と送金先の外国銀行が相互に口座持っていればいいのですが、そうでない場合は、それぞれの銀行と相互に口座を開いている別の銀行(コルレス銀行)に間に入ってもらう必要があります。
例えば、日本の地方銀行からインドネシアの銀行に、米ドルを送金するとすると、外国為替を扱っている東京のメガバンクとニューヨークの銀行を経由している可能性があります。
あいだに入るコルレス銀行の数が増えれば、それだけ手数料は跳ね上がりますし、また途中で口座番号を間違えると、送金がストップしてしまうこともあります。
送金したはずのお金が届かない、とクレームになって返ってくることもあります。そうした場合は、どこかの銀行で、送金が止まっていたという事態になりかねないわけです。
国際送金に関わるレガシーシステムとは
国際送金に関わる銀行間のやりとりにはSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication:国際銀行間通信協会)のシステムが使われています。
各国の銀行にはSWIFTが発行するコードが割り当てられ、それが住所のような役割を果たしています。こちらの住所からそちらの住所にいくら送るのかという暗号化されたメッセージをやり取りすることができるのがSWIFTの果たす役割です。
このシステムは、もう70年以上前からあるシステムですから、処理も遅く手数料も割高です。例えば、日本からマレーシアに1万円を送金すると、手数料で5,000円とられてしまうようなものとなっています。
しかし、例えばマレーシアにビットコインの取引所があれば、日本とマレーシア間はビットコインで送金すれば、より早くそしてより安く、送金できるというわけです。
そこで日本のビットコイン取引所で、日本円をビットコインに変えて相手に送り、受け取った人がその国のビットコイン取引所で自国通貨に変えることができれば、ビットコイン相場の影響を受けるとしても、銀行経由の送金と比べて手数料はものすごく安くなります。
このようにビットコインは特定の国に属さない仮想通貨ですので、そういうメリットがあるわけです。銀行経由の送金の手数料が高い理由には、人間がチェックしているということもあります。
複数の銀行を挟んだ送金では、手続きをすべて人間がチェックしているため、人件費が加算されます。それをコンピューターで自動化すれば、膨大な処理を一瞬でこなせるようになりますので、手数料もかなり安く抑えられるわけです。
テクノロジーを使って人間の作業を自動化すれば、早く安くサービスを受けられるようになります。しかしながら、既存の銀行システムは今までに抜本的な対策がとられてきていません。増改築に増改築を重ねたシステム作りになっています。
その象徴的なものが、みずほ銀行の大規模システム障害があります。つぎはぎだらけのシステムなので、過去に何回もトラブルが起きています。 1つの国内メガバンクのシステム統合だけでも大変な問題があります。
まして国ごとや銀行ごとに、別のシステムが動いており通信手段も違えば、それを丸ごと入れ替えるのは現実的には不可能と言えるでしょう。またお金の流れを止めてしまうと、経済活動も止まりますので、そういった事はすることができません。
そのため非効率であっても無駄であっても、すでに出来上がってているシステムの稼働を止めることなく使わなければいけないわけです。
送金には既存のシステムと併用する
既存のシステムをビットコインを始めとする仮想通貨にそのまま切り替えればいいという簡単な話ではありません。
既存のシステムは残しつつ、何もないところに迂回ルート別に作り、そちらでビットコインのような仮想通貨のお金のやりとりをしよういうのが基本的な発想になります。
普段から何十億というお金を扱う大企業では、すでに幾多の実績があり、安心安全な既存の送金システムを使う方がはるかにいいわけです。
しかしながら、数千円や数百円程度のお金のやりとりには、もっと簡単で安い送金手段があってもいいと思いませんか。それがビットコインを始めとする仮想通貨の役割なのです。
昔は、遠く離れた者同士が、メッセージをやりとりするときに、手紙を使いました。ところがインターネットが普及するにつれて、簡単なやりとりはメールで行われるようになりました。そして年賀状や季節の挨拶程度のものは、どんどんメールに置き換わっていきました。
手紙を書くよりも、時間が短縮できますし、コストもかからないというわけです。しかし冠婚葬祭などの大きなイベントの時は、メールではなく、手紙やハガキを送る人がまだまだたくさんいます。異動や転職の挨拶状や訃報なども場合もそうです。
それと同じように、何十億という金額を送金するとなると、銀行経由の方が遥かに安心安全なわけです。しかし少額のお金を送金する場合には、人の手を介さずに、デジタル化した方が便利ですし、手数料や速さの面からも大きなメリットといえます。