ビットコインは実体を持たない仮想通貨です。つまり中身はただの記号に過ぎません。
それでは、なぜビットコインが通貨としての価値を持ち、それが上がり続けると言われるのでしょうか?
通貨としての価値を考えるために、まずは円やドルがお金としての価値をなぜ持っているのかということについて、簡単に説明していきます。
昔はゴールドが国の経済発展の指標であった
ゴールドを中心に経済活動が行われていた時代があります。紙幣と言うものは、あくまでゴールドといつでも交換できるものでした。
ゴールドを持ち歩くのは大変ですし、盗まれたりする危険性もあります。そのため、ゴールドは国の金庫に預けておき、国民はいつでもゴールドと交換できる「預かり証」というものを使っていました。
しかしそうすると、国の金庫に入っている以上の紙幣を発行できません。国の経済力は、ゴールドの保有量に比例し、そのためゴールドの争奪戦が起きてしまいます。有名なのは南アフリカで起きたボーア戦争です。 19世紀の終わりにおきました。
そして現在でも南アフリカの金鉱をめぐる戦争で大勝利した大英帝国は、ゴールドを存分に手に入れたといわれています。しかしながら、世界中に産業革命が浸透し、国の経済力がそれぞれ発展していくと、国の経済力=国が保有しているゴールドの量というわけには、いかなくなりました。
ゴールドというものは、全部合わせても18万トンぐらいしかないと言われています。 50mプールに換算すると、4杯弱程度です。ゴールドというものは、希少ですから価値が高いわけです。
量が限られているだけに各国が経済力に見合ったゴールドを保有するという事は難しくなってきています。
そのため、現在の通貨は、ゴールドとは完全に切り離されて、各国の中央銀行が経済状況に応じて発行しています。これは円やドルに価値があると国民が信用しているから使われるのであって、円やドルの価値がゴールドに裏付けされたものではありません。
お金は信用で成り立っている
円やドルは、信用で成り立っています。日本円で1万円札を作る時の原価は、20円と言われています。銀行に預金してある1万円や電子マネーにチャージしている1万円は、ただのデジタルデータなのです。コストもほとんどかかっていません。
しかしながら、その1万円がお金として通用する理由は、国民誰もが1万円の価値があると信じているからです。そうした信用を支えているのは、国に対する信頼関係です。
そのため国の施策や将来に不安を感じる人が増えてくると、円やドルの価値は下がっていきます。つまり1万円で昔買えていたものが、1万2,000円出さないと買えなくなったりします。それだけ通貨の価値が下がってくるからです。
戦争に負けたり、無政府状態になると、国の信用が完全に失われます。その時にその国の通貨の価値が大暴落します。例えば、2年前に2,000円で買えたお米が、先月には1万円出さないと買えなくなるということも発生するかもしれません。
その場合は2,000円が1万円になったのですから、物の価値が5倍になり、円の価値が5分の1になったということになります。こういったことが続くと、お金をいくら刷っても間に合わなくなります。これが、「ハイパーインフレ」=物価の高騰=通貨価値の暴落と呼ばれる現象です。
ビットコインの価値が上がる理由
それではビットコインの価値が上がるといわれている理由は、どこからくるのでしょうか?
そしてビットコインの信用はどこから生まれてくるのでしょうか?
大きく分けると、次の3つの価値が上がる理由があります。それらを簡単に説明していきます。
ビットコインは誰も偽造できない
1つ目は、ビットコインは誰も偽造できないという信用です。
ビットコインは中央集権的な組織がありませんので、みんなの信用を支えているものは、その国の通貨を発行している中央銀行ではありません。ビットコインは全員が過去の取引記録を相互認証する仕組みがあります。
つまり誰もそれを偽造したり過去にさかのぼって改変したりすることができなくなっています。そこにビットコインの信用が生まれてくるわけです。そしてその信用が徐々に積もっていくと、ビットコインの価値が上がる理由だと言われています。
逆に言うと、ビットコインを誰かが手を加えて改善できるとわかった瞬間に、価値が暴落する可能性もあります。他の仮想通貨では、そういう問題が現実に起きていて大問題となっています。
特定の国や企業に左右されない
ビットコインの価値が上がる理由の2つ目は、特定の国や企業の思惑に左右されないということです。
ビットコインは特定の国や企業によって発行されるものではありません。10分ごとに行われる承認ベースの勝者に対して、一定のコインが発行されるというルールになっています。つまりそれを変更することはできません。
誰かが勝手にビットコインを大量に発行したり、勝手にそのビットコインの発行ペースを遅らせたりすることはできなくなっています。このように誰かが操作できないという事でビットコインは上がる理由があるのです。
また世間に出回るお金の量を意図的に増やして景気を刺激したり、意図的に絞って景気を抑制したりする金融政策は日常的に行われていますが、ビットコインにはそういった中央集権的な銀行がありませんので、流通量をコントロールするという発想がありません。
そのため、どこか特定の国に左右されることなく、安定的に流通量が増えていきます。これがビットコインの価値が長期的に上がる理由だとも言われています。
日本や米国が崩壊しない限り、円やドルは暴落しないだろうという信用があります。ある特定の国がコントロールできないから信用できる、というのも信用です。
ビットコインは後者の信用にあたります。そしてビットコインのルールが、オープンに共有されていることも、ビットコインが信用を得ている理由の1つです。
ルールをオープンにして共有することによって、使用者の信用を得て価値が上がるというわけです。
ビットコインは有限である
ビットコインの価値が上がる理由の3つ目は、ビットコインは有限であるということです。
ビットコインには数量があらかじめ決められています。仮想通貨はデジタルなデータなだけに、数量を増やすことができそうですが、ビットコインにはあらかじめ上限が決まっています。
ビットコインは、2,100万枚発行された時点で打ち止めになります。計算上から行くと、2141年にすべてのビットコインが掘り尽くされる予定です。
金や銀などの希少な金属が、通貨の役割を担ってきた時代は、正に量が限られていたからです。世界で取引されている米ドルが、ゴールドと完全に切り離されたのは、今からわずか40年ほど前のことです。
それ以前は、ゴールドが希少価値が最も高いものでした。ビットコインも希少であるからこそ、価値が上がる理由になるわけです。
ビットコインはゴールドとよく似ている
ビットコインは通貨というよりもゴールドによく似ていると思います。もともと総数の上限が、2,100万枚と厳格に決められていますから、希少価値が高いわけですし、時間が経つほど採掘も難しくなっているように設計されています。
石油や鉱物資源のように掘りやすいところからどんどん掘って現金化していきますので、後になるほど採掘コストが上がる傾向にあります。
ビットコインも同様に、後になるほど計算が複雑になり採掘するのが難しくなってきます。それがビットコインの価値が上がる理由となっています。ビットコインは長期的にも価値が上がっていくというわけです。